新潟県の古四王神社について

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　新潟県の古四王神社の探訪記録は、古四王神社をあらためてもう一度訪れてから作成したいと考えていました。
　新潟県の古四王神社については、桑原リスト等を見て、先ずは行ってみようと訪ねていて、準備不足が否めないものになっています。
　もう一度訪ねて資料関係の調査もおこなってから「探訪記録」を作成したいとの思いもありますが、山形とか秋田とか行ったことのない所が他に多くあり、行ったことのない所の確認を優先させたいので、最も初期の探訪の様子のままに記していくことにいたしました。

　桑原リスト（桑原正史「古四王神社の分布」＝『新発田郷土誌・第９号』（昭５１・1976）〈「所在地リストについて」参照〉では、新潟県域に以下の１０ヶ所をあげています。（番号は管理人によります）

　　１　新発田市五十公野・古四王神社、高志王山
　　２　東蒲原郡津川町・古四王神社、古四王平、古四王下
　　３　岩船郡神林村松沢・古四王神社（古四王堂）
　　４　岩船郡朝日村岩沢上屋敷・古四王神社
　　５　岩船郡朝日村早稲田・古四王神社
　　６　中蒲原郡村松町別所・古志王神社
　　７　中蒲原郡村松町上戸倉・古志王神社
　　８　中蒲原郡村松町下戸倉・古志王堂
　　９　西蒲原郡巻町竹野町・越王（コシワｰ地名通称）
　 １０　越後国古志郡・古志王神社

　桑原は、古四王神社の分布について諸書の例を管見の限り拾うことから網羅的な分布表の作成の試みをおこなって、古四王の分布と古四王についての諸論考を取上げ、その問題点について論じています。
　桑原は、新潟県の分布について述べておきたいとして、横山貞裕氏・梅田始氏・木村宗文氏によって示された分布を述べ、さらに「コシワ」について述べたあとで、「猶、越後国古志郡の信濃川のほとりに古志王社が存するという指摘が既往諸書に見られるが詳細不明である。特に御教示を得たい点である。」と記しています。
　これは、諸書の一部に見られる論文の信頼性を損ないかねない不用意としか言いようのないような記述に対する苦言の「御教示を得たい」であり、自戒ではないでしょうか。
　桑原リストにもとづく探訪記録はそれぞれ記していきたいと思います。

　その前に、上記以外の所在地情報について記しておきます。
　＊古志王神社（祭神：　大彦命）　
　　所在地：　豊栄市笠柳　　
　　資料：　『豊栄市史・通史篇＝第２編第５章信仰と文化』（平10・1998）

　地名及び関連情報
　＊古四王高倉　
　　所在地：　新発田市上三光の山中　（山中につき未訪）
　　資料：　『川東郷土資料』（昭３１・1956）「郷土の村建ちー上下三光の村立ち」
　　　　　ー「上三光岩谷城本丸の東にある台地を古四王高倉と云うが高倉の倉は高台の意であるが（略）古四王高倉は古四王即ち大彦命の御遺跡であると思う。」の記事があります。
　＊古四王中倉
　　所在地：　新発田市下三光の小字地名　（未確認）　
　　資料：　『新発田市史・下巻』（昭５６・1981）付録「市内小字名一覧表ー大字下三光」
　 （この高倉と中倉は別のものなのか同じものなのか）
　＊四道将軍手植松　
　　所在地：　東蒲原郡上条村　（未確認）　
　　資料：　『東蒲原郡史蹟誌』（昭和３ー寺田徳明）ー「上條村」の項
　　　　　ー「小字歳神と称する地に在り周三間余俗に「キンカ」杉と唱ひ耳患あるもの之を祈れば効ありと云う。」
　
　「月光リスト」の新潟県は、新発田市五十公野・東蒲原郡津川町・中蒲原郡村松町別所の３ヶ所を載せているのみです。
　「佐藤リスト」の新潟県は、岩船郡朝日村早稲田・同朝日村岩沢・同神林村松沢・新発田市五十公野・東蒲原郡津川町・中蒲原郡村松町別所・同松町下戸倉・同村松町上戸倉の８ヶ所に三条市上保内と西頚城郡能生町川詰の計１０ヶ所を載せています。
　三条と西頚城の情報の出所はどこなのだろうか。
　この２個所の所在地情報を検討します。

　また、及川大渓『みちのくの庶民信仰』＝「古四王神」は「古記に見え、現存する」ものとして越後国で北蒲原郡五十公野村と東蒲原郡津川町の２ヶ所を示し、「追加」として「中蒲原郡ー蒲原　五社明神、蒲原郡ー高出村　五所神社、 魚沼郡ー中島村　五社神社」をあげています。
　蒲原郡高出村と魚沼郡中島村はともに会津藩領なので、及川は会津藩領関係の情報源を持っていたのでしょう。（記事「福島県の古四王神社」「探訪記録　福島13・１４　川俣町」参照下さい）
　ちなみに、中蒲原郡蒲原・五社明神は藤原相之助『古四王神社の意義に就いて』（秋田郷土叢話（昭和９）収録）に記されています。
　この３個所の所在地情報も検討します。